『ネットワード・インターナショナル・サービス(以下、Netword)』『パシフィック異文化教育アカデミー(以下、PCA)』がメディア掲載、取材等で取り上げられた記事を紹介致します。
以下、掲載記事
【インター日記 新しい教育の方法を模索して⑤】
こんにちは松尾小のみなさん ようこそロビナ小のみなさん
インターネットテレビ会議システムの利用
一九九七年一月二八日、オーストラリアのクイーンズランド州ロビナ小学校の四年生と、京都市立松尾小学校の四年生が、環境問題をテーマに、インターネットテレビ会議による交流を行った。子どもたちは、どうしたら良い学校環境が作れるか、自分たちが成長したとき、世界中の汚染はどのようにすればきれいになるのかなど、ゴミや汚染の問題について意見を交換した。それから五か月が経とうとする六月末、ロビナ小学校の子どもたちが松尾小学校を訪問し、直接肌の触れ合う交流へと発展することになった。
今回は、インターネットテレビ会議を行ったあとの子どもたちの感想や、テレビ会議を支えた関係者の方々の意見や、その後の交流での感想をまとめてみる。またロビナ小学校の子どもたちの訪問の様子もレポートする。
インターネットテレビ会議の感想
ロビナ小学校の子どもたち
「最高だった。またやりたい。」
「日本人と話ができた。また彼らと話がしたい。」
「彼らとのお話はとても楽しかった。知らない人だけど会いたいと思った。」
「素晴らしくて、良かった。」
「彼らと話しをするのがとにとにかく楽しかった。」
「すごく良かった。話しをした日本人と会ってみたい。」
「みんな行って話しをしなくちゃと思った。おもしろかった。」
「とても楽しかった。気に入った。私の家ではもうすぐインターネットを設置するので、もっとたくさんの人たちとお話しできるようになる。」
「変わっていておもしろかった。日本では何が違うのか、どのようにして生活しているのか質問した。」
松尾小学校の子どもたち
「ロビナ小学校の人と通信をして、オーストラリアではぜんぜんゴミが落ちていない、緑をなくさないようにしているんだなと思った。私たちの街でも私たちのできることからやっていきたい。」
「話し合いができてとてもうれしかった。ぼくは意見が言えなかったのでくやしかった。話し合いをしてからかんきょうのことを考えるようになった。もう一回ロビナ小学校の人と話し合いがしたい。」
「オーストラリアのことがわかりました。けど通信の時間がみじかく、野生動物のことについて話し合いができなかったのが残念。今度やるときには野生動物のことについて話し合いたい。」
「これからもロビナ小学校の四年生のみなさんといろいとないけんこうかんをして、道や川にゴミのない世界にしていきたいです。それから今、ぜつめつしそうな動物についてロビナ小学校のみなさんとかおをみて、話し合いがしたいです。」
「ぼくは初めは森林がはかいされているということを知りませんでした。でもだんだんとわかってきました。ロビナ小学校と話し合いができてよかったです。ロビナ小学校と話し合いができてよかったです。でももっと時間がほしかったです。これからは今まで以上にゴミをへらしていきたいです。」
「オーストラリアではゴミはどうしているのか、リサイクルはしているのかが分かった。ゴミのりょうは同じくらいなのに、なぜあんなに自然があるのかなぁと思った。またやりたい。」
「通信ができてとてもうれしかった。話し合いが終わったからやめるんじゃなくて、これからももっと続けていきたい。こんどは顔と顔を見てやりたい。六月に彼らがくるときには友だちになりたい。」
「オーストラリアは自然がいっぱいあるのに、家ていから出るゴミは日本と同じぐらい出るのかなと思いました。それにもっと時間があったら最後のしつ問とかんそうが言えたのにと思いました。今度やるときはオーストラリアの人の目を見て話し合いをしたいです。」
松尾小学校で通訳をされたロン・ケイスリー先生のコメント
「外国の子どもと環境問題を考える」というイベントで、私は二つの驚きを覚えました。一つは、日本の小学生が学校でただ勉強を教わるだけでなく、社会の問題を積極的に考えているということ、もう一つは、世界に目を向けている、ということでした。
もちろん、これには先生方の大きなバックアップがあってのことでしょうが、そういう方向に小学生が向いていることに驚きを覚えたのです。当日、子どもたちも、先生も、そして私も、何か冒険にでも出かけるような期待の中で、インターネット通信が始まりました。そしてあっという間に終わってしまいました。その短い時間の中で、国際交流、外国の小学生とのコミュニケーションを体験した子どもたちの興奮する姿が、私の中で喜びとして伝わってきました。
環境問題も国際交流も、一時の課題ではないはずです。今後そのことが、どんなふうに発展していくのか、楽しみです。通訳しながら、僅かでもいいから、通訳不要の交流ができる日を夢見ています。
テレビ会議は、インターネットと国際電話を組み合わせたかたちで行われた。はじめは、インターネットでの画像交信が不安定で、うまくいかなかったが、途中からは、画像が届き、子どもたちは自分が話し合っている人たちをリアルタイムに画面で見ることができた。はじめての試みで、時間も少なく、子どもたちの「もっとやりたい、話し合いたい」という感想にみられるように、十分な活動ではなかったようだ。しかし、実際にお互いの顔がみらrたことが、交流をさらに続けていこうという意欲につながったのではないだろうか。
その後、ロビナ小学生からはコアラのぬいぐるみと、当日の交流の様子と学校の周辺を撮影したビデオテープが送られてきた。
図1)ロビナ小学校からほど近いゴールドコーストの海岸(ロビナ小から送られてきたビデオより)
図2)6月24日、松尾小の全校児童から拍手で迎えられるロビナ小の子どもたち
図3)校庭での出会いの会
図4)日本語も交えて挨拶するバードロビナ小校長
ロビナ小学校からのビデオテープを見て 松尾小学校の子どもたちの感想
「オーストラリアのゴールドコーストは、緑も多くてゴミも落ちてなくて、とてもきれいな所だなあと思いました。日本もロビナ小学校の周りのようにきれいになったらいいと思います。これからも、川や山にいってゴミをひろったりして活動していきたいです。オーストラリアだけでなく、ほかの国ともかんきょうについて通信がしたいです。」
「ビデオを見て、みどりがたくさんあるきれいな町とはっきりとわかりました。日本もオーストラリアみたいになるように、もっと活動をしていきたいと思いました。それとコアラをありがとうございました。」
「コアラのかわいいぬいぐるみをありがとうございました。ぼくはビデオを見てとてもうれいかったです。そのわけは、ロビナ小学校のみなさんと話し合いをしたとき、どんなふうにしつもんしたり、ぼくたちのしつもんをどんなふうにきいているのかもわかったしよかったです。一ばんうれしかったことは、はまべなどにゴミがおちていなかったことです。そのわけは、ぼくはその場面をみて、ロビナ小学校のみんなやドレイク先生のいっていたことは本当だったんだと思いました。ぼくはこのビデオをみてオーストラリアのようなしぜんのあるうつくしい国にしなければだめだなと思いました。」
六月二四日、松尾小学校にロビナ小学校の子どもたちがやってきた。ポール・バード校長、ゲイル・グリフィン教頭、ミセス・ドレイクの引率のもと、六・七年生一二名が松尾小を訪問し、翌日までホームステイするという日程である。
松尾小学校では、この日のために「出会いの会」「環境問題についての話し合い」「日本の文化交流」といった行事を準備した。この日、校庭では全校児童による歓迎の中、ロビナ小学校の子どもたちは、それぞれ日本語で挨拶し、松尾小学校の英語教室の子どもたちも英語で挨拶、その後、全校児童で英語の歌を合唱した。
続いて体育館で、五年生全児童と「動物の保護」について意見交換が行われた。
その後、折り紙で風車やかぶとを作ったり、鳴子踊りを一緒に踊ったりして、ロビナ小学校の子どもたちは短い時間であったが、日本の文化にふれることができた。バード校長は挨拶の中で、今度はぜひ、ロビナ小学校へも来て欲しいと語っていた。
環境問題を軸としてインターネットが縁で結ばれた協力関係が、国際理解教育、異文化理解交流へと発展したすばらしい実践である。この交流を体験した子どもたちは生涯にわたって、お互いの国のことに対して特別な興味や関心を抱き続けるだろう。
その発端となったのがインターネットである。もはやメディアとしてのインターネットそのものへの関心からではなく、そこから出てくる具体的な教育成果に大きな注目が集まっているのである。
(ビデオ提供:和子・ドレイク、資料提供:松尾小学校、まとめ:編集部)
図5)ロビナ小の子どもたちの日本語での挨拶
図6)体育館での環境問題についての話し合い
図7)折り紙でかぶとをつくる
図8)鳴子踊りをいっしょに踊る