ASPAC（アジア・パシフィック・マスターズゲーム）=熟年者のためのスポーツの祭典。スポーツ競技と様々な親睦を兼ねた交流大会で、種目は卓球をはじめ、テニス、バドミントン、水泳など40種目。開催地のオーストラリア・ゴールドコーストは世界的に有名な観光地で、98年から2年ごとに開催され、今年で3回を迎える。この大会に出場するには、高い水準、記録といったような特別な資格は必要ない。年齢制限（卓球の場合は30歳以上）さえクリアすれば、誰でも参加できる。

　ASPACの公式親善大使として日豪を行き来し、日本人の参加を呼びかける和子.ドレイク女史。「ぜひとも、日本の皆様に参加していただきたいと思っています。この大会のお世話をしていると、異文化交流がいかに大切かを実感致します。この大会に参加した方々は皆さまおっしゃってくださいます。この大会に参加した方々は皆さまおっしゃってくださいます。新しい仲間との出会い、国を超えて友情を育むことが、新たな人生の喜びになっている…と」。

　「アマチュアスポーツの原点は”楽しむこと”にありますでしょ。単に勝ち負けだけでは寂しすぎますものね。私自身、学生時代、テニスに没頭していまして、スポーツのおもしろさは実感しています。現在も子どもたちの指導とか、スポーツイベントの企画などをやっております」
　本来の職務は、かつてベトナム従軍記者として著名だった夫・ドレイク氏と立ち上げたネットワードインターナショナルの代表取締役。業務内容は、日本とオーストラリアとのスポーツ・芸術・教育などの異文化交流による相互理解の橋渡し。簡単に言えば、ホームスティや日豪の学校間における交換留学生の手助けなどだ。

　来日中はスケジュールがびっしり。ある日は、オーストラリアで開くエキジビジョンのために、岡山県備前市で陶芸家と打ち合わせに出かけ、翌日は夏休みに来日するオーストラリアの子どもたちの受け入れのために、千葉の教育委員会を訪れて学校側と協議…と、息をつく暇もなく動き回る。
　「異文化教育と言いますか、異文化交流の大切さ、必要さを実感したんですね。異なる国同士の人たちが、コミュニケーションをとって、お互いに感動したり喜んだりしていると、戦争なんて起こらないんじゃないかと思うんです。世界平和のためにも、もっと異文化交流を進めて行きたいと思うのです」。

　ASPACは、過去2回の大会で素晴らしい成果を上げた。それは世界的な大記録をうち立てたとかではなく、50カ国から延べ2万人以上が参加し、地元、ゴールドコーストの人々がトータルで1万時間以上ものボランティア協力をしてくれたこと。それによって、参加者同士はもちろん、参加者と地元の人々との間にも温かい交流が芽生えた。
　知人である元・横綱の曙と一緒に写った写真を見せてもらった。まるで大人と幼児ぐらいの違いがある。「そんな小さな体で、よくそこまで精力的に動けますね」と尋ねると、「私にはパッション（情熱）があります。異なる国の子ども同士が出会った時、初め、ぎこちなかったのが、やがて笑っている……そんな光景を見ていると、心の底から”幸せ”を感じることができるんです」と、彼女は微笑んだ。とてもハッピーな笑顔だった。